人生100年時代の
キャリアの「軸」
となるもの

さきほどのページでは、長期戦であるライフシフトに臨むにあたって、

「誰かに振り回される人生」ではなく


「自分で手綱を握る人生」を生きていくために


自分なりの「軸」を定めることがとても大事になる


という話をしました。

では、80歳まで働くことが前提となる人生100年時代のキャリア戦略において、 その「軸」となるもの は何でしょうか。

結論からいいますと、書籍「LIFE SHIFT」にも書かれているとおり

「自分は何を楽しく感じるのか」

「自分は何に価値を見出すのか」

といった

「自分が大切にしている価値観」

になります。

ではなぜ 「自分が大切にしている価値観」 が、人生100年時代のキャリア戦略の軸となるのでしょうか。

今回はその理由について、3つの側面からお話したいと思います。

目 次

【なぜ価値観が大事?①】「好き」じゃないと続かないから

80歳まで働くということは、20歳から80歳まで60年働くということです。


そんな60年も働き続ける時代で大事になってくることは何でしょうか。


それはライフシフトにまつわるさまざまな書籍に共通して書かれていることでもありますが、その中の1冊である「幸福の資本論」(ダイヤモンド社)の著者・橘玲さんの言葉を拝借しますと、


  • どんな人も嫌いなことを60年もやり続けることはできない

  • なので ”好きを仕事にする” ことが唯一の選択肢になる


ということです。

これはとてもシンプルな考え方ですので、多くの方が納得できるのではないでしょうか。


そもそも「好き」という

感情のエネルギーが湧かなければ

長く続けられない


ということですね。

ただ、昨今よく聞かれるこの「好きを仕事に」の意味するところについて、

世間の反応をみるとその解釈にかなり幅があると感じていますので、この言葉のライフシフト塾における意味合いについて少し丁寧に解説したいと思います。

【なぜ価値観が大事?①-1】「好きを仕事にする」の本当の意味

この「好きを仕事に」という言葉を聞いて、みなさんどういうイメージを持たれるでしょうか?


おそらくですね、「その通りだね!」と反応する人よりも


「それができたら苦労せんよ・・・」

とか


「そんなことができるのはごくごく一部の人だけだろ」


といったような、「世の中そんな甘くねえよ」といったネガティブな反応を示す方のほうが多いのではないかと思います。

そのようにネガティブに反応する方々はおそらく 「好きを仕事にする」 というイメージをこんなふうにイメージされているのではないでしょうか。


  • 好きなスポーツを仕事にしているスポーツ選手

  • 好きなアート活動を仕事にしているアーティスト

  • 趣味などを配信して収入を得ているYouTuber など


これらは非常にイメージしやすい「好きを仕事にしている人々」ですね。

そして、これらの人々に共通するのは「秀でた才能を持っている人」という点です。


なので、「普通の人には無理だよ」という反応につながっているのではないかと思います。

ですが、この講座ではもっと抽象的な概念で 「好きを仕事に」 を捉えます。

たとえば、「テレビゲームが好きな子供」がいたとします。


そんな彼が「好きを仕事に」するとしたら、どんな仕事が頭に浮かぶでしょうか?


ぱっと思いつくのは、例えば「ゲーム制作会社への就職」や、最近では「ゲーム実況をするYouTuber」あたりではないかと思います。

しかし、この「好き」というのは、もっと奥深いものです。

たとえば「テレビゲームが好きな子供」であっても、全てのゲームが好きというわけではないでしょう。

「このゲームは好きだけど、このゲームは好きじゃない」、といったことは皆さん自身の経験からも想像できるのではないかと思います。


例えばロールプレイングゲームは好きだけど、シューティングゲームは好きじゃないとか。


その場合、

「それのどういうところが好きなのか」

「それのどういうところは興味がないのか」

を突き詰めていくと、

抽象度の高い「ある価値観」が浮かびあがってきます。

例えばロールプレイングゲームが好きなのであれば

「(ゲームに限らず)いろいろと探索しながらゴールに向かうことが好き」


だったり、

シューティングゲームが好きなのであれば

「(ゲームに限らず)降ってくる軽めのタスクをどんどんこなしていくことが好き」


だったり。


さらには最近ではオンラインで仲間と一緒にやるゲームもありますよね。


そんなゲームが好きなのであれば、

例えば「ソロ活動ではなく、仲間と一緒に何かに取り組むのが好き」だったり、

「こんなタイプの仲間たちとチームを組むのが好き」だったり、

「チームの中ではこんな役回りで貢献するのが好き」といった要素が見えてきたりします。

以上、「好きを仕事に」について少し掘り下げて説明しましてみましたが、つまるところライフシフト塾における 「好きを仕事にする」 の意味合いとは、

”好き” からあぶり出される

”自分が大切にする価値観” に

合致した仕事をする

になります。

以上が「好きを仕事に」の補足説明説明になりますが、改めて

「自分が大切にしている価値観」が

なぜ人生100年時代のキャリア戦略の軸になるのか

という問いに立ち戻りますと

ライフシフトでは80歳まで長期間働く必要があり、

そもそも 「自分の価値観に合ったこと」 でなければ

気持ちが持たなくなるから

ということがその理由の1つめになります。

【なぜ価値観が大事?②】能力を磨くために必要だから

働く期間が80歳まで伸びると、「これまでの仕事の延長で何かをする」ではなく、 「これまでやったことがない仕事にトライすること」 も選択肢の1つになりますし、実際にそのような形で定年後のライフシフトを実現されている方もいらっしゃいます。

例えば、書籍「実践! 50歳からのライフシフト術(NHK出版)」の中では、 「サラリーマンだった方が定年退職後に美容師免許を取り、美容院を開業された方」 の事例なども紹介されています。

そして、そのようなライフシフトを実現する場合は、当然ながらこれから「新たな能力」を身につける必要があり、そんな新たな能力を身につけるためには、「10,000時間の法則」で有名な 「天才!成功する人の法則」(著:マルコム・グラッドウェル) や 「やり抜く力 GRIT」(著:アンジェラ・ダックワース) などで提唱されているように、

「長期にわたってやり抜く力」

が必要になります。

長期にわたってやり抜く力というのは、失敗や挫折、あるいは「無反応」といったものに直面しながらも、それでも粘り強く続けていく継続力ともいえます。

そんな継続力を発揮するために必須のものは何かというと、

行動を続けるためのエネルギーとなる

モチベーション(心が突き動かされる感情) 



です。

そして、そんな「モチベーション」を湧かせるために必要な要素は何かというと、

自分が大切にしている価値観に合ったことをする

ということです。


以上のように、

能力を磨くためには行動の継続が必要であり、

「自分が大切にする価値観に合ったこと」でなければ

行動を継続することは難しいから

というのが、

「自分が大切にしている価値観」が人生100年時代のキャリア戦略の「軸」となる

2つめの理由です。

【なぜ価値観が大事?③】結果として「幸福感」も高まる

この講座は「人生100年時代のキャリア」に向けて準備していくものですが、さらに上位にある大目標は当然ながら



「幸せな100年人生を生きる」 



ということになります。

ということで最後に、

「自分が大切にしている価値観」


を軸として生きることが

「結果として幸福な人生につながる」

というお話をさせていただきます。


幸福を構成する要素にはさまざまな説がありますが、ここでは日本における幸福学の第一人者である慶応大学大学院・前野教授が提唱する 
「幸せの4つの因子」 に基づいて説明させていただきます。

前野教授の研究結果から導かれた幸福を構成する因子は次の4つです。

これら4つの因子の「満たされている度合」が高まれば、幸福感が高まるということですね。

  1. やってみよう!因子(自己実現と成長)

  2. ありのままに!因子(独立と自分らしさ)

  3. ありがとう!因子(つながりと感謝)

  4. なんとかなる!因子(前向きと楽観)


これらの要素と

「自分が大切にしている価値観」の関係性

順番に見ていきます。

まず 「1.やってみよう!因子」 ですが、


これは

自分が大切にしている価値観に合ったキャリアを目指すこと

と言い換えることができ、


それは


「ライフシフトの行動方針そのもの」


と言えます。

次の 「2.ありのままに!因子」 

自分が大切にしている価値観を大切にして生きること

と言い換えることができ、


それは


「ライフシフトの在り方そのもの」


と言えます。

そして 「3.ありがとう!因子」 については、

自分が大切にしている価値観に合った

キャリアを目指していく過程で、

いろんな仲間と繋がっていくことになるので、

この因子もライフシフトに取り組んでいけば


間接的に満たされていく


ことになります。

最後に「4.なんとかなる!因子」ですが、

これは


「自分が大切にする価値観にあった仕事をすること」


を通じて、

  • 「1.やってみよう!因子」も満たされてるし

  • 「2.ありのまま!因子」も満たされてるし

  • 「3.ありがとう!因子」も満たされてるし


となると、「だったらなんとかなるかぁ」という具合に、


結果として満たされていきます。


このように

「自分が大切にしている価値観に合ったキャリア」


を目指すことは、

「80歳まで働けるようになる」だけでなく、

「幸福な人生を送ること」にもつながっていく

ということが、

「自分が大切にしている価値観」が

人生100年時代のキャリア戦略の軸となる

3つめの理由です。

以上、今回は

「自分が大切にしている価値観」 が

なぜ 「人生100年時代のキャリアの軸」 になるのか

というテーマについて

①80歳まで長期間働き続けるには、

「価値観に合ったこと」でなければ精神的に持たないから

②能力を磨くには行動の継続が必要であり、

「価値観に合ったこと」でなければ行動が継続しないから

③「自分を大切にする価値観」を軸にして
ライフシフトの道を進んでいくと、

結果的に人生の幸福度も高まるから

という3つの視点からお話させていただきました。

続けて次のページでは、

この「自分が大切にしている価値観」という軸を持つことで、

「今回お話したことに加えて、さらにどんな効果をもたらすのか」

という視点から、

「『軸』を持つことで人生の選択に迷わなくなる」

というテーマでお話ししたいと思います。